DXを推進するうえで、DX人材の確保は不可欠です。DX人材を確保するためには採用活動以外にも、既存の社員を育成する方法があります。その手段として、DX研修を活用する企業が近年増えています。

本記事では、DX研修サービスの選び方や重要性、実際の研修サービスの例、研修による効果をさらに高める方法などをまとめました。
また、DX人材の確保に悩む企業に向けて、DX人材の紹介や研修・勉強会を行っている「Resource Cloud HR」を紹介します。DX人材を求める企業だけでなく、転職先を探しているDX人材や、将来的にDX人材を目指している方もぜひご覧ください。

DXとは

DX(Digital Transformation)とは最新のデジタル技術活用により市場の新たなニーズに対応し、組織の競争力を高めること、さらには、人々の生活や社会全体により良い影響を与えることを指します。

日本では経済産業省が2019年に公開したDXレポートのなかで「2025年までに国内企業のDXが進まない場合、年間最大12兆円の損失を生む」と発表した、2025年の崖という問題を提起したことで、急速にDXへの関心が高まりました。

DXや2025年の崖については、こちらの記事でも詳しく解説しています。>>『DXとは? 定義をわかりやすく解説! 事例やDX人材をめざす人向けの情報も紹介

DX人材とは

DXの推進には、DXスキルをもつDX人材が必要です。DX人材はITスキルに精通しているだけでなくDXを正しく理解し、ビジネスの観点も含めたうえで課題解決を目指せる人材を指します。

DX人材なしでDXを推し進める場合、真に解決すべき組織の課題や効率的な取り組みの方法がわからず、プロジェクトが頓挫することや、求めていた結果が得られないケースが散見されます。

しかし優秀なDX人材は希少であり、一般的な採用による確保は容易ではありません。そこで社内の人材をDX人材として育てる選択肢として、DX研修を導入する企業が増えています。

DX人材について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。>>『DX人材とは?定義や採用・育成のポイントを解説

DX研修を社員研修として実施する重要性

既存の社員をDX人材として育てるなら、DX研修の活用が効果的です。また、研修を行う場合は、社員全体を対象とした研修の実施をおすすめします。DXは担当者や一部の人材だけが理解して推進しても、取り組みとしては不十分です。

DX推進により新たなツールを導入する場合、そのツールを日々扱うのは現場の社員です。しかし現場の社員がDXの価値や目的を理解していなければ、変化に積極的になれず、反発や混乱が起こるだけになりかねません。

組織がDX推進により長期目線での価値の創造や、競争力強化を図るなら、社員全体がDXの考え方を身につけ、全社的にDXに取り組む必要があります。職種を問わずデジタルリテラシーを高め、理解をうながすには、全社員を対象としたDX研修の導入が重要です。

DX研修会社の選び方のポイント

DX研修サービスを選ぶ際には、以下の点を意識しましょう。

  • 内容の難易度は適切か
  • 研修を通してDX人材として活躍できそうか
  • 社内のニーズに合っているか
  • 無理のない費用か

内容の難易度は適切か

基本的なITリテラシーの教育から始める必要がある場合や、ある程度知識が備わっている状態で、実践的なツール・データ活用の習得を重視する場合など、企業によって研修で扱うべき難易度は異なります。

また、全体にはDXへの理解をうながす研修から行い、特定の人材にのみデータサイエンティストやAIエンジニアを目指した研修を受けさせる、といった使い分けも有効です。従業員の習熟度や、企業の状況に合わせた内容の研修を導入しましょう。

研修を通してDX人材として活躍できそうか

その研修プランで、今後本当に従業員がDX人材として活躍できそうかどうかも、十分検討しましょう。まずは全社的なDXの基礎固めが必須ですが、そのうえで実践的な考え方を身につけるようなプランを立てる必要があります。

実務における課題解決を目指すワークショップといった、DXスキルを高め、習得できる内容の研修を導入すると良いでしょう。

社内のニーズに合っているか

社内や市場の課題を理解したうえで、導入すべき研修を選ぶことも重要です。「データ活用できるDX人材を求めている」「AIを構築できる人材がほしい」といった視点から、自社に必要な研修内容のものを選びましょう。

無理のない費用か

DX研修はオンライン完結型の講座をはじめ、実際に専門の企業から講師が複数回社内に研修にくるようなサービスまで、幅広く存在します。内容や規模によって費用面も大きく異なり、数万円のものから数千万円かかるケースもあります。

一般的にオンライン学習の場合、費用は安くなりますが、一方的な講義をパソコンで視聴することがほとんどです。一度に大勢の社員を対象に実施できますが、強制力が弱く、受け身の姿勢で取り組むと十分な効果が見込めない場合もあります。コストパフォーマンスを重視して全社員を対象にじっくり育成するなら、オンライン学習も選択肢に挙がるでしょう。

一方で、直接的な研修の場合は受講する人数や期間にもよりますが、数百万円から数千万円程度かかるケースも見られます。社員の時間を大幅に確保しなければいけませんが、その分強制力が強いことがメリットです。また、ワークショップ形式をはじめとするすぐに実践できる内容の研修を導入すると、高い費用対効果が見込めるでしょう。

DX研修は、企業にとって無理なく導入できる費用感のものを選ぶことが重要です。一方で、安さだけで選んでも十分な効果を見込めない場合があるので、内容を吟味したうえで自社の内情に合わせた研修を選びましょう。

DX研修会社のサービス紹介

DX研修サービスを活用しようとしても数多くの企業が実施しており、どれを選ぶべきか悩んでしまう事業者が多いのも事実です。本項では、以下の代表的なサービスを紹介します。

  • 富士通
  • Schoo
  • insource
  • INDUSTRIAL-X
  • 経済産業省

富士通

富士通株式会社が提供する「富士通ラーニングメディア」に、DX人材育成のカリキュラムがあります。本講座では以下の5つの要素から、必要なコースの選択が可能です。

  • デジタル戦略・組織
  • デジタル思考
  • デジタルプロセス
  • デジタルテクノロジー
  • デジタルリテラシー

また全社的にDXへの理解を高めたい企業向けに、8週間、自由にDX関連の講座を受けられるボリュームライセンスというサービスも展開しています。自社のニーズに合わせてコースを選ぶと良いでしょう。

富士通のDX研修サービス

Schoo

ビジネス向けのオンライン研修を数多く扱っているSchooは、DX関連の研修をパッケージ販売しています。

SchooのDX研修では、以下のように目的や難易度に応じてパッケージを選べます。

  • DXの基礎とデザイン思考を学べるパッケージ
  • AI・IoTシステムについて学べるパッケージ
  • プロジェクトマネージャー育成を目指したパッケージ

また、20名以上の場合は法人契約も対応可能です。

SchooのDX研修サービス

インソース

さまざまな社内研修サービスを提供しているインソースでは、オンライン研修だけでなく、派遣型のDX研修も行っています。

  • システムデザイナーを短期集中で育成するプラン
  • DX推進に向けて社内体制の整備から人材育成まで行うプラン
  • データアナリスト・データサイエンティストを育成するプラン

上記は一例ですが、自社のニーズに合わせたプラン・研修内容の選択が可能です。
インソースのDX研修サービス

INDUSTRIAL-X

企業のDXコンサルティングやDX人材の育成事業を手がけるINDUSTRIAL-Xは、独自のDX研修を行っています。特定の企業に合わせたカスタマイズ研修や、自治体向けの短期研修などにも対応しています。

基礎的な内容から実践的なワークショップ形式の研修まで、網羅的なカリキュラムを組んでいるのが特徴的です。

INDUSTRIAL-XのDX研修サービス

経済産業省

企業のサービスではありませんが、経済産業省が国内のDX人材を増やす目的で公開している「マナビDX」でも、DXの知識・スキルが学べます。GoogleやMicrosoftが提供する動画も無料で見られ、基礎からAIやデータサイエンスなど特定の技術を学べるものまで、幅広く扱っています。

無償の講座や助成金を受けながら受講できるものもあり、試しに導入するような使い方もしやすいでしょう。

経済産業省のマナビDX

DX研修を自社で実施する際のポイント

DX研修は自社で独自に実施することもできます。その際の主なポイントを見ていきましょう。

  • 目的を明確にする
  • 外注する部分を決める

目的を明確にする

まずはどういった人材が必要でDX研修を実施するのか、目的を明確にしましょう。DX人材とひと口にいっても、データサイエンティストやUI/UXデザイナーなど役割が細かく分かれています。

組織の解決したい課題や、DXによりどのような価値を生み出したいかによって、必要なDXスキルは異なります。システム構築やデータ活用、UI/UX志向、AI・IoT、プロジェクトを導く能力など、さまざまなスキルから組織に必要な能力を選び、研修に反映させることが重要です。

また、有望な人材ひとりにあらゆる分野のスキルを習得させるのは、現実的ではありません。本人の希望や経験を考慮したうえで、必要なスキルごとに役割を分担しましょう。

外注する部分を決める

研修において自社でまかなえる部分と、外部に委託する部分を定めましょう。自社で行う独自の研修は、組織の内情や実務に合わせた、実践的な内容に仕上げられるのが利点です。

しかし、自社にないノウハウを社員に教えるのは簡単ではなく、より高い効果を求めるなら、部分的にプロの外部講師に委託することも必要です。コストとも相談しながら、必要に応じて前項のような外部研修を活用しましょう。

DX研修の効果を上げる方法

DX研修を行っても、社員の成長が見込めなければ意味がありません。研修で学んだ内容をより定着させ、実務に活かすために企業がすべきことを紹介します。

  • 常に情報をアップデートできる環境を提供する
  • OJTや配置換えで実務を経験させる
  • 長期的な目線で育成する

常に情報をアップデートできる環境を提供する

DXやITの分野は日々新たなサービスが生まれ、技術も目まぐるしく進化しています。一度研修を受けても知識や情報を常にアップデートしなければ、時代の流れをとらえられず、最適な形でDXを推進できない恐れもあるでしょう。

常にアップデートするためには、以下の方法が挙げられます。

  • 個人で学べるようにオンライン学習できる体制を整備
  • 社内で情報共有できるコミュニティを形成
  • 社外の優秀な人材とのネットワークを提供

OJTで実務を経験させる

研修で学んだ内容を実務で活かす経験を積ませると、より知識の定着が見込めます。社内で小さなプロジェクトを立ち上げたり、戦略的に配置換えを行ったりして、OJTによる実践の経験を与えましょう。

また、小さくても成功体験を積むことで今後経験を活かせるだけでなく、モチベーション向上につながり、より優秀なDX人材への成長も期待できます。

長期的な目線で育成する

DX研修を受けただけでDX人材として十分に力を発揮することは難しく、上記のようなアップデートや実務経験を積むことで、活躍できる人材へと成長します。

DX人材に求められるスキルはIT分野だけでなく、ビジネスの知識や考え方を身につけることも重要です。そしてDXにより新たな価値を生み出すためには、試行錯誤を繰り返しながらDXを推進する必要があります。

そういった取り組みのなかでDX人材が育つので、3年〜5年といった長期的な目線での育成を意識しましょう。

効果的なDX研修でDX人材を確保しよう

DXは企業が今後も事業を続けていくためには必須の取り組みであり、その推進にはDX人材が必要です。しかし優秀なDX人材は希少性が高く、通常の採用活動での確保は容易ではありません。

そこで、既存社員をDX人材として育成するために、DX研修を導入する企業が増えています。DXは担当部署だけでなく全社的に取り組む必要があり、全社員を対象にDXへの理解を深めることも重要です。そのためには研修の活用が効果的です。

DX研修にはさまざまなサービスがありますが、まずは目的を明確にし、自社のニーズ・習熟度に合わせて選ぶ必要があります。また研修を受けて終わりにせず、その後の実践の機会や知識・情報をアップデートできる環境を提供し、長期目線で育成する必要があります。
DX人材の育成を含め、採用やDXの推進自体に悩みがある事業者・担当者は「Resource Cloud HR」をご活用ください。

DX人材を確保するならResource Cloud HR

Resource Cloud HRは業界では珍しい、DXに特化した求人紹介サービスです。Resource Cloud HRでは求人紹介以外にも、会員限定で定期的な研修や勉強会、DX関連資格の取得サポートも実施しています。

エンジニア出身でコンサルティングスキルを身につけたい方や、コンサルティング出身でDXスキル(デジタルスキル、エンジニアリングスキル)を身につけてDX人材として活躍していきたい方も対象に、DXの考え方から実践的な内容まで研修を行います。

また、DXのコンサルティング事業も行っているため、クライアントの現状を深く理解したうえで、具体的で正確な人材の紹介が可能です。採用代行事業も行っており、面接・採用までスムーズにサポートします。

すでにDX人材として活躍し、より良い環境への転職を検討している方や、将来的にDX人材をめざしている方にもおすすめです。興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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