経済産業省は2025年までに国内企業のDXが十分に進まない場合、年間最大12兆円の損失が生まれると発表しています。DX推進は企業の課題であると同時に、国内全体の急務です。

本記事ではDX推進が必要とされる理由や背景、メリット、課題、具体的な手順などを紹介します。また、DXを効果的に推進させるには、DXを推進させられる人材の確保が効果的です。

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DXとは?

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、最新のIT技術の活用により組織の市場競争力の向上だけでなく、人々の生活をより良くする取り組みを指します。

2018年に経済産業省が「DX推進指標」において、DXを以下のように再定義したことで、日本でもDXが注目されるようになりました。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

(出典:経済産業省「DX 推進指標」とそのガイダンス 令和元年7月

今後、市場においてデジタル競争がますます激化することが予想されており、さらには次項で詳しく解説する「2025年の崖」が迫るなか、変革を急ぐ企業が増えています。

DXについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
>>「DXとは? 定義をわかりやすく解説! 事例やDX人材をめざす人向けの情報も紹介

DX推進が必要な理由、メリット

DX推進が必要とされている理由や背景、DX推進によるメリットをお伝えします。

DXが必要な理由・背景

DXが必要な理由・背景には、主に以下の3点が挙げられます。

  • 「2025年の崖」問題
  • 人手不足への対策
  • IT化への対応

「2025年の崖」問題

経済産業省はDXレポートのなかで「2025年までに国内企業のDXが十分に進まない場合、年間最大12兆円の損失が発生する」と述べています。その理由は、以下のとおりです。

  • 多くの企業のシステムが老朽化・複雑化し、維持管理費が高騰する
  • ベテラン技術者が引退し、保守できる人材が枯渇する
  • 市場の変化に対応できず、デジタル競争の敗者となる

特にレガシーシステムと呼ばれる老朽化したシステムを使い続けていると、セキュリティ対策が不十分で情報漏えい・喪失リスクが高まります。また、デジタル分野に参入しようとしても、システムが対応できないといった問題も発生するでしょう。

実際、現状8割の企業が老朽化したシステムを利用しており、約7割の企業がそれをDXの足かせと感じているとの結果があります。(参照:経済産業省『D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』)

人手不足への対策

企業にとって今後ますます大きな課題となると考えられるのが、深刻な人手不足です。日本では少子高齢化が進んでおり、総務省統計局によると、2021年の15歳から64歳の労働人口は、前年に比べ15万人減少したとの発表がありました。

労働人口の不足は残業の増加や、労働環境の悪化による意欲の低下、それによる生産性の低減を引き起こします。DXを推進すると業務代行ロボットの導入や作業の自動化により、人の手を使わずにできる業務が増えます。

結果として限られた労働力でも生産性を上げ、業務時間の低減によるコストカットも見込めるでしょう。
(参照:総務省統計局『第1 就業状態の動向1 労働力人口』)

IT化への対応

これから企業が市場優位性を得るためには、IT化への対応が不可欠です。スマートフォンやパソコンといったデジタルデバイス対応のサービスはもちろん、AIやIoTの活用も求められるでしょう。

また、そういった先端技術を導入しただけでは、単なるデジタル化にとどまる恐れがあります。市場のニーズに応えていくためには、DXにより企業内部のIT化を進め、テクノロジーを活用したビジネスモデルの変革まで推し進める必要があります。

DX推進により得られるメリット

DX推進によるメリットは多々ありますが、代表的なものは生産性の向上とBCPの充実の2点です。

生産性の向上

DXを進めると、業務効率化や生産性・正確性の向上が見込めます。デジタル化により業務最適化が進めば、作業時間短縮による人件費・残業代の削減も可能です。また、人による業務はどうしてもヒューマンエラーがともないますが、自動化することで正確性の向上にもつながります。

誰にでもできる業務や単純作業を自動化することで、従業員はよりクリエイティブな業務に時間を充てられるでしょう。また、労働時間の短縮により意欲的に業務に取り組め、結果として生産性の向上が期待できます。

BCPの充実

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、大規模災害や不測の事態が発生した際にも被害を最小限に抑え、重要業務を継続しながら早期の業務復旧をめざすための計画を指します。

例えば感染症の拡大も、BCPで対策すべき事態のひとつです。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令されたときにも、それ以前からDX推進によりリモートワーク体制を整えていた企業は、スムーズにテレワークへと移行できました。

このようにDXによる業務効率化ができていれば、不測の事態にも柔軟に対処できます。近い将来、大規模地震の発生が懸念され、異常気象による災害も例年各地で起こっているなか、BCPを視野に入れたDXの推進は企業にとって不可欠といえます。(参照:中小企業庁『中小企業BCP策定運用指針』)

DX推進の課題

DXを推進するうえでの主な課題は、既存システムのブラックボックス化と、デジタルに精通した人材の不足です。両者ともに国内企業全体の重大な課題といえます。

既存システムのブラックボックス化

前述のとおり、多くの企業が利用しているシステムは老朽化し、膨大なデータを抱えるなかで複雑化してブラックボックス化しています。また、システム導入時から担当していたエンジニアがすでに引退しているケースも多く、対処できる人材の不足も大きな課題です。

システムがブラックボックス化した状態では、大規模にビジネスモデルを変革してもシステムがついてこられず、理想とするDXは見込めないでしょう。まずは既存システムの調査からはじめ、必要に応じたシステムの見直しも欠かせません。

デジタルに精通した人材の不足

国内企業のDXが進まない大きな原因のひとつが、DXを進められる人材の不足です。多くの企業ではデジタルに精通した人材を確保できておらず、外部のエンジニアやベンダーに頼っているのが現状です。

しかし、これまで保守・運用を外部に任せていた企業はノウハウが自社に蓄積されておらず、DXを進めようと思っても何から着手すべきか、問題点や具体的な改善案もわからない状況に陥ります。

また、IT人材の不足は国内全体の課題であり、人材の獲得競争は今後ますます激化するでしょう。優秀なIT人材の確保・育成に早めに取り組むことが、DX推進の鍵となります。

DX推進のステップ

DX推進は、大まかに下記の手順で行われます。

  1. DXの目的・戦略を明確にする
  2. DX推進体制・システムを構築
  3. DX計画の立案・実施・改善

1. DXの目的・戦略を明確にする

DX推進においてまず考えるべきことは、DXの目的です。なぜ・何をDXするのか明確に定めましょう。

明確な目的や理由がなければ、ツール導入による単なるデジタル化で終わってしまいがちです。結果として大きな改善や成果が見られないだけでなく、現場が混乱するだけといったことも起こり得るでしょう。

まずは社内の課題を洗い出し、効率化すべき業務や優先順位を定め、戦略を立てます。また、DXの目的やビジョンが定まれば社内全体に周知し、理解を得ることも重要です。

2. DX推進体制・システムを構築

DXを本格的に推進するために、専門部署の新設や予算を確保をして、体制を構築します。また、システムが老朽化している場合には、根本から見直す必要があります。

既存のシステムが複数ある場合も、連携できているか確認しましょう。できていない場合は、この機会に一貫性のあるシステムを構築します。

3. DX計画の立案・実施・改善

体制が整えば、社内の課題解決に向けて具体的なDX推進計画を立案しましょう。その計画をもとに、業務のデジタル化やツール・クラウドを導入します。

そうしてDX推進の基盤ができれば、既存のビジネスモデルに変革を起こすような施策を打ち立てます。既存業務の改善も大切ですが、利益拡大や価値の創造といった「攻めのDX」を意識しましょう。

また、都度状況に合わせて進捗を見直し、継続的に評価・改善することも重要です。DXがうまく進まない場合や環境が変化した場合には、当初の計画に固執せず、柔軟に計画を見直しましょう。

DX推進を成功に導くためのポイント

DXが失敗する理由には、DXが手段ではなく目的になっていたり、単なるデジタル化で終わってしまったりと、いくつかのものが挙げられます。本項では、DX推進を成功させるための主なポイントを紹介します。

  • 経営層のコミットが重要
  • DXを推進できる人材を確保する

経営層のコミットが重要

DXの推進は、企業トップ層の積極的な取り組みが不可欠です。DXはビジネスモデルや業務フロー、組織風土・文化そのものを変革することもあります。また、システムの刷新や大規模なツールの導入など、多大な予算がかかる場合もあるでしょう。

経営トップがDX推進に強い意志をもち、全社的に明確なビジョンを共有する必要があります。トップダウンで会社全体を巻き込まなければ、DXによる大きな変革は見込めないでしょう。

DXを推進できる人材を確保する

DXを効率的、かつスムーズに進めるためには、DX人材と呼ばれるDXスキルをもった人材の確保が有効です。

DX人材には、データサイエンティストやUI/UXデザイナー、AIエンジニアなど、さまざまな人材が挙げられます。自社のDX推進に必要なスキルを明確にし、そのスキルをもった人材を確保できると、DXの成功がより近づくでしょう。

DX人材を確保する方法は、次項で詳しく解説します。

DX推進のための人材を確保する方法

前項でも述べたように、DXを成功させる大きなポイントのひとつに、DX人材の確保が挙げられます。しかし優秀なDX人材は希少性が高く、各社が奪い合っているのが現状です。

本項ではDX人材を確保する手段として、社員を育成する方法と、外部から確保する方法の2つに分けて解説します。

社員をDX人材として育成する方法

外部からのDX人材の確保は容易ではありませんが、社内の見込みある社員をDX人材として育成する方法もあります。社内でDX人材を育成する際には、以下のポイントが重要です。

  • DX関連資格の取得を支援する
  • 配置転換により、OJTでのスキル習得を狙う
  • 学習時間の確保や研修の実施など、育成環境を整備する

社員をDX人材として育成する場合、自社の課題や内情を熟知した人物にDX推進を任せられるメリットがあります。ただし、育成に時間やコストがかかるといったデメリットもあるので、自社に合った方法を選びましょう。

DX人材の育成については、こちらの記事でも解説しています。
>>「DX人材の育成方法を解説!採用をせずにDX人材を確保するには

DX人材を外部から確保・採用するには

DX人材の採用は難しいといっても、通常の採用活動以外にも確保する方法はいくつか挙げられます。

  • SNSでの募集
  • DX人材専門の求人紹介サービスの利用
  • 他者からのスカウトやアウトソーシング
  • 従業員・関係者に紹介してもらう(リファラル採用)
  • 求職者への直接的なアプローチ(ダイレクトリクルーティング)

優秀なDX人材を確保するためには、こういった戦略的な手段を用いましょう。また、これらの方法は通常の募集よりも採用コストが安く、まだ転職の意志が薄い転職潜在層にもアピールが可能です。

DX人材・DXエンジニアの採用方法や気を付けるべきポイントなどは、こちらの記事でも解説しています。
>>「DXエンジニアとは? 必要な資格・育成方法・採用方法・転職方法について紹介

DX推進に役立つツール

DX推進の際に導入したい、おすすめのツールを紹介します。これからDXを推進する場合は参考にしてください。

RPA

RPA(Robotic Process Automation)は、単純なパソコン作業を自動化するツールです。誰がやっても良いようなデータ入力や簡単な操作を、ロボットが自動で行います。設定しておけば終業後や休日に作業を完了できるので、業務時間の短縮や残業時間の削減に直結します。
主なサービスはUiPathWinActorなどです。

グループチャット

グループチャットは、コロナ禍以降導入する企業が急増しています。社内でのコミュニケーションツールとしてチャットやミーティングだけでなく、データの共有、タスク管理など、あらゆる業務に活用できます。リモートワークには必須のツールです。
主なサービスには、SlackChatworkなどがあります。

オンラインストレージ

大量のデータをクラウド上で管理・保管できるツールです。情報共有や共同作業が簡単にでき、リモートワークや遠隔の事業所との連携に便利です。
主なサービスには、DropboxGoogleドライブが挙げられます。

DX推進を成功させるためには

「2025年の崖」問題や労働人口の減少に備え、企業が今後も事業を続けていくうえでDX推進は不可欠です。

DXの推進には老朽化したシステムの刷新や、DX人材の確保など課題もありますが、IT需要への対応やBCP策定のためには早期に取り組む必要があります。DXを成功させるポイントは、目的や戦略を明確に定め、経営層も現場も全社が一丸となってDX推進を心がけましょう。
DX人材の確保には社員を育成する方法と、外部から確保する方法がありますが、優秀なDX人材を求めているならDX人材専門の人材紹介サービス「Resource Cloud HR」をご活用ください。

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