DX(デジタルトランスフォーメーション化)を推進するDX人材の需要は近年増え続けており、今後ますます高まることが予想されます。しかしDX人材は実際に何をしているのか、どういったスキルを持つ人材のことを指すのか、理解していない企業が多いことも事実です。

本記事ではDX人材が行う業務内容や、DX人材に求められる経験、スキル、マインドなどをまとめました。DX人材を求める企業、DX人材を目指す方の参考になれば幸いです。

  • DX人材はどんな仕事をしているのか
  • DX人材が実際に行う業務内容と一般的なDXプロジェクトの流れ
  • DX人材に期待される経験・スキル・マインド

DX人材はどんな仕事をしているのか

デジタル化とトランスフォーメーション化

最優先事項としては、デジタル化への課題の着手が挙げられます。ペーパーレス化や業務効率化のためのデジタル化への移行、AIの導入や技術承継なども主な業務となります。しかし単純なIT化のための業務だけではDX人材とは呼べず、デジタル化の推進後に取得したデータから業務の効率化、また、データの可視化により業務を次の段階に引き上げること、さらにはデジタル化による事業変革を意味するトランスフォーメーション化を推進させることが第一に求められます。

農家におけるビニールハウス栽培のトランスフォーメーション化を例に挙げると、今まで人間の感覚を頼りに運用していたものを、センサーを用いて日々データを取得、分析により数値的にアプローチを可能にすること等が挙げられます。つまりデジタル領域へのアプローチを前提として、データ収集、分析をした上での事業変革が、DX人材の仕事における目標となります。

DX人材に求められる知識レベル

エンジニアの場合は、デジタル化のディレクションやSaaSなどの知識があり、導入までできることが求められます。その上で稼働状況の可視化、業務効率化が目標です。

コンサルタントの場合は、デジタル化された状態からクライアント企業それぞれの業界の特色を理解し、業界全体の状況に合わせて事業を推進していくことが求められます。つまり事業コンサルタント・戦略コンサルタントとしての力が必要であり、デジタル化された状態からいかにデータを用いた事業の構築、提案ができるかが重要です。

DX人材が実際に行う業務内容と一般的なDXプロジェクトの流れ

主な業務は、クライアントからのヒアリングと分析です。散見されるケースに企業がDXを目的として掲げることが多く、デジタル化を推進する中で結局何を目指しているのかわからなくなってしまうことがあります。まずはクライアントがDX化によりどうなりたいかを明確にしてから、DXを目標のための手段として、事業変革を行うことが重要です。

またDXプロジェクトは基本的に、数年単位でのプロジェクトとなります。数ヶ月といった短期的なスパンで終わるものではなく、多くの場合デジタル化、分析、解析を行い、経営リソースに余裕が出た時に新規事業への参入を検討、といった流れになります。各業界を中長期で見ていくにはその業界の知識はもちろん必要ですが、その他の業界に対する知識が通用することも多く、深い知見をもとに長い期間にわたって運用していくことが求められます。

加えて、現在の事業を数年後、数十年後といった長いスパンで見た時に、業界がどうなっているか、そのためにはどうするかを企業とともに考える幅広い視野が必要です。

DX人材に期待されるもの

デジタルに関する知識や分析などのスキルはもちろん、業界・職種の垣根を越えて、ビジネスの視点から課題を解決する能力が必要となります。

また職種に関わらず広義のDX人材に期待されるものとして、経験・スキル・スタンスの面からそれぞれ紹介します。

経験

  • コンサルタント、エンジニアとしてのIT経験
  • 複数業界、業種でのビジネス経験
  • 新規事業立ち上げの経験
  • DXおよび関連領域での経験

スキル

  • IoT/AI活用に関するスキル
  • 最新デジタル技術に関する基礎知識
  • 開発に関する知識だけでなく、ビジネス知識も有すること
  • 様々なステークホルダーと適切なコミュニケーションが取れる
  • ものごとをデータで捉えて語ることができる能力

マインド

  • 激しい環境の変化への柔軟な対応
  • 高い理想を持ちつつも、着実に実行できる堅実さ
  • 常に新しい知識を習得し、課題にチャレンジつづける姿勢
  • あらゆる情報を連携させながら事業を行う視点
  • 自分の役割を明確にしてできないところは連携する協働力

また正しいかわからなくても業務を推進していく、熱意を持って取り組むことも非常に重要です。FUJIFILMを例に挙げると、スマートフォンの普及によりカメラの需要は減ってしまいましたが、フィルム加工の技術を活用し、スキンケアや医療分野へ事業展開することで、成功を収めています。

カメラ業界全体を脅かす課題にも柔軟に対応し、従来の技術をデジタル領域に落とし込んだだけでなく、今まで関係のなかった分野で強みを活かした素晴らしい事例です。今後、企業のDX人材にはこういった視点での課題解決力が求められます。

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